なんとも形容しようのない半日を「へべ」という言葉で表してみる。仮に。
その動詞で、「へベル」「へべっている」となるわけだが、 うちから、西へむかって、人の力に驚いて、駅をまたいで、ぼんやりしていると、「へー こんなところだったんだ」と東浦和に着く。 田舎とか地方とか、どうでもいいことだが、完全に「都市の歩行法」とは違う歩き方を強いられる。 さて、行きかう車に悪態をつきながら、工房 集へ着いたのは、午後の中ごろ。 ZAIM FESTAのコラボ4という、考えてみたら、展示って、こんな集合体でやるべきだ、と思わせてくれた、 中津川浩章さんからの、「ぜひ 来てよ」コールに答えて、「ぜひ みるよ」態度で挑んだけど、表現が作り出す可能性に満ちていた。 中津川さんのZAIMでの展示を読み込む東方力丸の後ろ姿。 今回、川口 太陽の家では写真を撮らなかったけれど、空間の光の状態や、これは、表面としても移し残しておかなければ、と思わせる、質感、があった。 展示として、 工房 集でもコラボレーション展「つないでひらいて・・・そして」という全国から福祉とアートの新しい出会いを模索、実現しているグループが集い、これからどうするか会議をういういしく、腹の中身を出すように促されてはじめていたが、作品として欲しいものがいくつもあり、そして、作り出すのは困難さを伴う新しい世界の地図が展開していた。 伝説的な作家たちは、ある「表現の臨界点」を経験しているはずだが、工房 集の表現者たちは、その臨界からこちらへ挑んでくる。 そこらへんをどう受け止められるか、ということに考えを巡らせながら、工房 集の天窓から漏れてくる光を浴びていた。 施設として課せられるタガをうまく逆手にとっているようなところが、興味深い。 「外から見えるように」 という強制力が、そのまま、表現の本質的なところを剥き出しにしている。 皿を二枚買う。 てぬぐいもいいのがあった。 妙に駅までの帰路が近く感じて、総じて、はじめてゆくところはそんなものだ。と彼女と言い合いながら、 「ほらみて」 と、光の状態を指して彼女は言う。 「ほら みて」 前日に入ったメールで崔から、「ぜひ みて」コールがあったので、朝鮮学校美術部の展示を見たけれど、 ビルの4・5階を使った作品展は崔が何を生徒と共有しているか、が読み取れた。 崔とは去年のIDで、「なんとかしてくれ」アイデンティティを、パスポートを、とかの話になったが、その問題は個別に取り上げなければならない、デリケートな問題だとも思う。 きちんと、生徒が展示の自主管理をしていて、それらが気持ちいい。 俺にはできないなー。と思わせる、態度というものが、そこにはあった。 西川口に、なかば廃墟化した空間、(空間、それは商工会議所なのだが、市場が空洞化しているのならばそれを取り巻く物的空間も何をどうしても「廃墟化」からは逃れられない。) に成長過程の人間のひとつの取り組みがそこに現れている。 学生の美術展示ということもあり、「やられた」という気分を拭い去れない。 崔はメールで「黄金町バザールのまね」と書いていたが、川口は川口でやってゆけばいいと思う。 ある種の交流はあるだろうが、土地環境の独自性をもう少し考慮してゆけば、黄金町も西川口も違う側面から語り始められることがいくつもあるように思える。 という立場にいられるのも、こちらが、荒川と多摩川に挟まれて、のうのうと生きているからだが、今回は個々の生徒の表現を評価するよりも、すんなりと写真をのせておくことで、こちらの評価性を読み取ってほしい。
by docore
| 2009-03-15 06:12
| 月を運ぶ
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